藻場の創造・気候変動適応対策

海の生態系は、水温などの環境変化に大きく左右されます。藻場の衰退や魚類の移動、海藻の成長不良など、微細な変化が連鎖的に地域の海を変えてしまうのです。

こうした変化は、海の命の連鎖を断つだけでなく、地域の気候レジリエンスをも脅かします。

海藻は炭素を吸収し、沿岸生態系の健全性や生物多様性の維持に重要な役割を果たします。

藻場の再生は、気候変動によって変化する沿岸環境への適応策の一つとして、地域の海の回復力を高める取組です。

この実践を持続可能なものにするには、定期的なモニタリング体制の構築が不可欠です。

水温、海藻量、生物多様性などのデータを継続的に記録・分析し、変化の兆しを早期に捉えることで、地域の海を守り育てる力が生まれます。藻場の再生は、科学と地域の知恵が融合する現場主義の象徴であり、次世代への希望を育む営みなのです。

私たちは、同じ目的意識を持つ仲間たちが、安価で手軽に参加できるよう、手作りによる組立式の簡易藻場礁を用いた実証実験から取り組みを開始しました。社会動向の変化に呼応しながら、社会や環境への貢献を通じて社会的価値を創造し、その結果として経済価値の向上を目指すCSV経営の必要性を発信しています。さらに、脱炭素社会におけるブルーカーボンの活用を視野に入れつつ、ウニ駆除やアワビの稚貝放流事業などにも取り組みながら、地域との共創による藻場造成を着実に進めています。

多年生の海藻カジメ(クロメ)が消失した海域で取組により新芽が繁茂

移設可能な揺動式の藻場造成法(特許出願中)とは 「通称:中岡式藻場造成法」は、放置竹林の問題解決にもつながる間伐竹を有効活用した藻場造成技術です。竹筒を浮具として使用し、綿ロープで連結するとともに、カジメなどの海藻の着生基質として利用することで、環境再生と資源循環の両立を実現した環境負荷の少ない藻場礁です。また、設置水深によっては、副次的効果として浮魚礁としての機能も期待できます。
竹筒によるモジュールは、波浪の作用によって揺動することで、表面への浮泥の付着を抑制するセルフクリーニング機能を発揮します。さらに、竹筒に繁茂したカジメが海中で揺動することにより、ブダイやアイゴなどの植食性魚類による食害の軽減が期待できます。また、海底から海面近くまで海藻を垂直方向に繁茂させることで、ウニによる食害の抑制にもつながります。食害が激しい時期には、食害防止ネットで保護した退避場所へ移設したり、磯焼けが進行した海域へ移設したりすることも可能です。
このように、状況に応じて藻場そのものを移設できることが、本手法の大きな特徴です。これまでの実証試験により、竹筒の設置時期や設置場所の選定、施工方法などに関する技術的ノウハウも蓄積されています。
※固定式構造物による藻場造成では、海藻の繁茂によって植食性魚類が集まり、結果として食害を招く場合があります。本手法は、そのような状況に応じて藻場を移設できる国内でも極めて独自性の高い技術です。
【本取組は、環境省主催の関連事業において、先進的取組事例として複数回、取り上げられている順応的アプローチ技術です。】

移設可能な揺動式の藻場造成法
(特許出願中) <3自治体・3海域で38モジュール設置>
【効果】揺動性により浮泥のセルフクリーニングならびに食害を軽減、藻類の初期繁茂率が高い、食害シーズン・水温条件に応じて自由に移設可能、軽量・低コストで大規模施工が可能、自然素材を活用し、材料・施工時の環境負荷を抑えた構造、ブルーカーボン創出、沿岸生態系回復に有効などがあります。

環境省の先進事例共有枠で複数回、取り上げられた取組:実践技術「移設可能な揺動式の藻場造成法(通称:中岡式藻場造成法)」に基づくシステム構築を、ぜひ早期にご検討ください。
体制づくりは変化が起きる前に始めなければなりません。
私は現場でその必要性を強く実感しています。

培養したカジメの雌雄配偶体付きネットを移設可能な揺動式の藻場造成法に活用した実証実験

当活動における藻場造成の価値 藻場造成を伴う里海づくりで必要なのは、人づくりと地域共創を同時に進め、定期的なモニタリングを実施できる体制です。その価値は以下にあります。
●地域共創力 ●漁協・学校・行政を巻き込む力 ●学習プログラム設計 ●気候変動適応教育 ●ブルーカーボン政策理解 ●伴走支援力 ●後継者の育成 ●現場スキル・経験 ●地域循環共生圏
※技術だけを取り出しても成立しない持続性ある“技術+人+地域づくりの統合体系”です。

地域を豊かにする物語 海・山・里をつなぐ「地域を豊かにする物語」。
■海:気候変動による藻場の衰退と生物多様性の変化。■山:放置竹林による環境問題。■里:気候変動による食品ロス問題。これらを同時に解決し、環境再生と資源循環を目指す取り組み。そして、この物語を描ける人材を育てる教育。
※「教育による社会変革を:地域が学べば、地域が変わり育つ」ことこそ、持続可能な地域づくりの鍵です。

観光高付加価値化・地域産品の販路拡大ページへ続く